このホームページの運営理念と利用案内


はじめに

   このホームページは、1998年6月に開設しました。おそらく、高知県内の労働組合としては初めての試みであったと思います。
 この間、県内外の多くの方からアクセスいただき、メールでの相談も多数にのぼっています。しかし、単なる宣伝方法、通信手段の多角化の延長線上にとどまり、ITの持つ画期的なパラダイムシフト(運動理念、運動の方法論の転換)効果を見るにはいたっていません。
 労働組合もその運動、あり方を抜本的に見直すべきという動きが、「原点」へ戻れ、それを忘れるべきではないという言葉でかき消されがちです。単なる回帰、回顧に終わらせず、労働組合運動が持つ本来の革新性を取り戻すためには、原点とは何かをその時代認識の中で再定義することが求められています。
 また、この間、傘下の労働組合の争議に関連し、訴状をHPに全文掲載したことに対して300万円の損害賠償を求められるということもありました。個人情報保護という「新たな」課題も浮上しています。
 県内でも多くの労働組合がホームページを立ち上げるようになっています。
 この際、運営理念を再考し、明らかにする必要を痛感します。ITを含む時代認識に関する問題提起は未完ですが、社会の構造、あり方の変化に伴い国民意識の変容が起きていることに対して本格的に向き合わなければ、労働組合は時代の遺児になってしまいます。


設置の目的

@県医労連の運動、考え方を組織の内外の方たちに広く知ってもらう。
A労働組合の理念、あり方、諸権利を初心者向けに提供する。
B政策提起、資料提供(交流)を主に他の県医労連、単組の幹部向けに行なう。
C本サイトの情報を通じて、県内医療経営者の労働組合に対する理解を促進する。
D県内の未組織の医療・介護労働者をネットを通じて組織する。

【現状と課題】
 
このうち@〜Cは程度問題として、Dについては実現できていません。労働相談、各単組支部の組合員の退職者を医労連共済を通じて50名あまり組織はしていますが、ネット組合員の組織化には成功していません。
 ホームページの内容、ディスプレイ、運営方法の見直し、組合費と共済費の設定、組合せの問題、日常生活上の組合員特典等、研究課題課題は山積です(共済加入は勿論、金融、資産形成などライフプランニングにおける相談、顧問弁護士を通じた安価な生活相談体制などの特典は欠かせません。情報提供のみでは、むしろ無料で豊富な情報が得られて当たり前というのがネットの常識ですから吸引力が弱いといわざるを得ません)。
 
また、@について案外県医労連組合員への浸透が弱いのが実態です。ホームページ作成についての県医労連執行部の関与、組合員参加の検討が必要です。
 さらに、@の目的の今日的な意義として、労使関係という閉塞的な関係を脱し、組合活動を積極的にオープンにしていくという視点が重要になっています。衆人環視に絶え得る労働運動でなければなりません。そのために情報をできる限り開示して行きます。
 利用案内の「患者・住民」の項で明らかにする運動理念を実現するための積極的な情報発信を行ないます。
 個人情報保護の対策が急務です。個人情報は人格の一部であり、HP掲載内容の精査、個人情報漏洩防止対策など早急に対処すべき課題です。


利用案内

医療労働者 ⇒ 左メニュー欄の「医労連とは」から下に順番に「労働者の権利」まで見ていただいたら分かりやすいと思います。県医労連の取組みは、上方メニューの「E−速報」や催し案内、活動日誌をご覧ください。左メニューの「労働相談事例」も参考にしてください。また、「リンク」集の労働関係も必見です。

組合幹部  ⇒ 左メニュー欄の「労働組組合のB’Z」の中のZ付近から「資料と政策」、「病院経営分析」、「成果主義と闘う」などをご覧ください。上方メニューの「リンク」集は、課題ごとにまとめていますので、ネットサーフィンの手間が多少省けます。賛否含め意見歓迎です。最下方のリンク集は、利用頻度の高いものです。日常の組合活動に活用してください。

医療経営者  上方メニューの「県内病院」の情報に誤りがあったり、HPのリンクの設定ができていなかったりした場合にはご連絡ください。HP全体の情報を通じて、県医労連の基本姿勢、運動理念をご理解いただければ幸いです。病院政策、地域医療政策活動、経営者との共同に力を入れています。この方面での意見の交換を希望しています。
 「労働組合も変わってきたな」という意見も耳にするようになってきました(否定的な意見を持っている人は、労働組合がこの頃だらしなくなった、とはっきり言いますから、良い評価と受け取っています)。

患者・住民 ⇒ 取組みや地域医療政策などご自由にご覧ください。医療安全対策等は、日本医労連のHPに詳しい資料が掲載してあります。病院や職員に対するご批判や意見、提案などをお寄せください。
 私たちは労使関係を、病院に関する利害関係者間の1つの関係と見ています。労使関係を機軸に、どちらかというと患者、住民を見方にして経営者に当たるという図式は古いと考えます。
 治療医面では、患者は病気を治す主体者と扱われ、インホームド・コンセント、情報開示などが進んでいます。チーム医療の重要性も指摘されています。企業の社会的な責任論も盛んになってきました。
 これらの動きに対応した労使関係は、「資本の所有・非所有」論を基礎としたものから、「資本に対する利害関係者」という考え方を基本としたものに移行すべきです。労働組合は、1利害関係者に過ぎません。しかも、利用者という利害関係者からすれば、「資本の当事者」という特殊な側面を併せ持ちます。
 同じ利害関係者として、資本のあり方、社会的な責任、使命(ミッション)について意見を述べ、ともに行動する関係を目指しています。経営者、経営担当者との関係も、対峙する側面を留保しつつ、共同する側面がより主要になると考えます。
 労働組合は、1利害関係者というにとどまらず、資本の当事者としての特殊性を持つからこそ、資本のあり方について、さまざまな利害関係者の意見と行動をコーディネイトする役割を課されていると考えます。


労働組合のIT戦略の課題

@業務の効率化
A運動理念、あり方のパラダイムシフト
B経営のIT化に対する対応


【現状と課題】
@業務の効率化
 ITを導入し
ルーチン業務をシステム化することで、余裕な時間を創出する。さらに、複雑・専門的であった業務もルーチン業務化する。 ⇒ 生まれた余裕時間は、組織指導創造的な業務(全体情勢の把握、組織と運動の現状の総合的な把握と見直し、中長期の戦略課題の検討等)と自己研修(これなしに新たな発想は出てこない)に当てる。余裕時間が新たなルーチン業務を「創造」することは避ける
 IT化により、
時間、お金、労働力の節約を図ることは基本。反復的な文書の作成には、PCは特に威力を発揮する。統一的な管理により、節約できる労力と時間は膨大なもの。日本医労連全体で統一したプロバイダーと契約した場合の電話、FAX料金の節約効果はいかばかりか。等々。
 また、ペーパーがデジタルに、FAXがEメールに変わるだけでなく、
システムの変更にまで行きたい。全単組支部にPCがありインターネットと接続していれば、県医労連執行委員が全員PCを持ち、メールができれば、連絡のあり方は抜本的に変わり(一部は、携帯電話のメールで代用)、会議の持ち方も変わるだろう(開催頻度と内容)。報告は必要なく、組織の戦略課題について十分な時間が割けるはず。
 メール等での連絡とフェイスtoフェイスの会議等との議題は当然異なるべき。会議の質を変える。
 さらに、一般の組合員に対しては、ホームページにパスワード付きで文書を掲載することで、詳細な内部情報が提供できる。
 (以上は要は、一般の企業ではすでにやっていることで、労働組合も世間並みに早く追いつく必要があるということ)

A運動理念、あり方のパラダイムシフト
 対面と電子媒体を通じた伝達・交流の
相乗効果の創造(特に組織内)。
 組織対象が、対面の範囲を超える。ネット上の労働組合(
サイバーユニオン)。
 
利害関係者との共同の手段としての威力。「資本の当事者」という側面を持つ特殊な利害関係者としての役割(利害関係者間の連絡・調整のコーディネーター)発揮に欠かせない。共同の範囲の予想外の拡大。 ⇒ 組合員の範囲内の限られた参加・動員運動からの飛躍。インターネットを通じた呼びかけが、効果を発揮するためにはその運動理念の普遍化(パラダイムシフト)が必要か?ホームページの位置づけは、単なる自己主張・アピールの手段としてではなく、運動の普遍化と相乗するものでなければならない。主張に魅力・共感性がなければ、インターネットの連鎖の輪は途切れてしまう。
 2割を割り込んだ労組組織率の回復のためには、従来の
陣地型の組織論では限界。また、組織嫌い、個人主義化が言われる状況下で、それを打ち破る取組み、工夫だけではなく、それらを前提にした新たな組織論の構築も要検討(単に既存の組織を守るのが目的であれば、創意・工夫という努力の範囲内であろうが、政権交代なり自己の主張の(政府)政策への反映を目的とするのであれば、従来の枠組みの変容=パラダイムシフトは避けて通れない)。⇒HP、特にブログと呼ばれるものの活用。参加型HPの構築。緩やかな組織(場合によってはサイバーユニオンより)のあり方の検討。
 
→ さらに突っ込んだ問題提起は、コチラ

B経営のIT化に対する対応
 急速に進む職場のIT化。地域医療連携の有力な手段となっている画像送信システムは、過疎地の医療に福音をもたらすと同時に、地域完結型医療にとっても欠かせないアイテム。電子カルテの導入もより質の高い患者サービスの提供の可能性を秘める(待ち時間の短縮、情報の開示、安全対策、EBMの前進等)。
 ITは、日常生活にとっても欠かせないものであり、IT化に消極的になるのではなく、むしろ積極的にITリテラシーの獲得に取組むべき。充分な研修と準備期間の確保。導入目的、理念の確立、再定義を組合としても追求する。
 何のために導入するのか。患者サービスの向上と労働の軽減の同時追求をめざす。軽減の意味は、質の高い患者サービスの提供のためには、安定した労働条件が必要ということ。安定的に効率よく労働し、患者サービスの向上に労働力を振り向けるということ。そのためにこそITを活用させる。とにかくミッチリ働かせることが効率的という考え方は古いし、実際は非効率的であり、安全の前提を崩しかねない。ITをいわゆる「合理化」の手段とさせない。
 いたずらに恐怖心を抱くのではなく、導入の目的、理念を明確にさせ、患者サービスと労働条件の向上を積極的に目指す姿勢が重要。


【告知】
ブログ「メディカル・フレンドパーク」の共同管理者求む。

 上方のメニュー欄に「メディカル・ブレンドパーク」というブログを設置しています。このHPの設置趣旨をご理解いただける方で、一緒に運営をしてくださる方を募集しています。希望のい方には、パスワードを配布します。自宅のパソコンからアクセスし、投稿や内容の変更ができます(掲示板への投稿より、もっと積極的にかかわることができます)。
 連絡を待っています。


さいごに

 プロ野球選手会労組の運動の教訓の1つは、労組が改革の旗を握り、改革の旗手たり得たことであったと思います。明らかに、経営側は自己の利益に汲々とし変革に消極的な旧守派でした。
 労働組合は、歴史的には社会変革の旗手であったはずが、いまや旧守派に見られています。 大阪市の例は典型で、自己の利益に固執し市民利益を省みない集団というイメージがマスコミを通じて植えつけられています。これには偏見を利用した権力の攻撃という側面と、それを許している労組側の自己変革の遅れという側面があるのではないでしょうか。
 HPの位置づけをめぐって議論が発展しすぎた感がありますが、いまや労働組合は生き残りと飛躍のために自己変革が求められており、HPもそのような戦略の元に設置、運営が検討されてしかるべきではないでしょうか。