●小泉流への対抗策


 医療改革反対は7割を超える。それなのに小泉内閣の支持率もそれに劣らずに高い。

小泉内閣高支持率の怪。これをどう解くのか、運動展開に関わる我々の側の大きな課題だ。

 ポイントは3つあるようだ。1つは論理のすり替えの巧みさ。国民が自民党流の政治、政治家にうんざりし、レッド・カード(少なくともイエロー・カード)を突きつけていることは明らか。ところが、小泉氏は自民党とその象徴である派閥を痛烈に批判し、「ぶっ潰す」とまで叫びまわり、それらを批判する国民の側に自身を滑り込ませた。

2つ目は、短い言葉を操る巧みさ。横綱貴乃花がケガをおして優勝したときに、「よくやった」「感動した」という短いフレーズの組合せで国民の心を捉えた。「3方1両損」もその類。「短文主義」と評されている。

3つ目は、新しい政治家を演出することの巧みさ。「あまいこと」ばかり言う政治家像に対して「イタミ」を主張する政治家としての新鮮さ。漠とした全体状況から「イタミ」の必要性を納得させる巧みさ。

1、2については異論はないところだろうが、問題は3についての捕らえ方である。大方の見方は、「高支持率の原因は、国民が小泉内閣の進めるイタミの内容を充分理解していないから」というものだろう。しかし、徐々にではあれイタミがあらわになってきつつある現在もあの高支持率を保っていることは説明できない。

国地方合わせて660兆円の借金。時限爆弾のスイッチはどう見ても入っている。それに加えて出口の見えない深刻な不況、迫り来るリストラ。国民は「あまくない」と見ているのである。「あまいことばかりのうまい話しはない」と見ている。私たちが主張する、「患者負担引上げ反対」、「いつでもどこでも安心して受けられる医療実現」が、「あまい言葉」「うまい言葉」と映っていはしないか。

 大抵の「改革」は、「総論賛成、各論反対」で各論反対が大きくなりつぶれて行く。ところが、小泉「改革」の場合には、「各論反対、総論賛成」に国民意識を動員している。

 我々の側も「イタミ」の各論を丁寧に追及すると同時に、総論の展望を現実の厳しさから導き出すことが必要ではないだろうか。(TT