●ITとアナログの並存と労働組合


 一年にサラリーマンが書類などを捜す時間は、何と六週間。ウォールストリート・ジャーナルの調査だそうだ。労組専従の薄給とはいえ、この探す時間も労働時間に含まれている。書類を探す時間をゼロにし、仕事に専念したい。一念発起、書類を整理。やはり、はかどる。ストレスが減る▲思えば、労組専従になった二〇年前、執行委員会のレジメを作るのは一日仕事。青刷りのコピー機で気長に枚数をそろえた。今は、コンピューターで前回のレジメを引っ張り出し、経過は電子手帳を見ながら変更。一時間もあればできる▲高知の県・市の病院統合が持ち上がった十年ほど前、ある県議に県立病院の経営分析を頼まれた。自宅の食卓の上に模造紙を置き、鉛筆で引いた升目に『企業年鑑』から数字を書き写した。今は、CDから必要個所をコピーし、私でもグラフ化もできる▲整理前の事務所は、この“ハイ・テク”とロー・テクの雑然さとが同居していた。そして結局は、非効率だった。全体の効率を決めるのは、非効率の『ボトル・ネック』だ。これが、全米で大ベストセラーになった『ザ ・ゴール』の結論だ▲「大黒柱に車を付ける」とは、ジャスコ会長の岡田家の家訓だそうだ。大黒柱は固定観念や因習のこと。ひまな時間を作り出し、戦略的思考に割く時間を作り出すことが、労組幹部には求められているのでは。(「医療労働者」脈路に寄稿)