●成人式考 国民の抵抗権


「出て行け」と橋本高知県知事が野次を飛ばす新成人を一喝したのは、2年前の高知市の成人式であった。今年は例年荒れ模様の那覇市の成人式も何事もなく、感激で涙ぐむ関係者の姿が報道された。
 一見無軌道に思える新成人の行動も、今の若者を取り巻く状況を考えると、未熟で方向性を持たないものの、「痛み」への必死の抵抗と思えてくる。15才から24才までの若年者の失業率は、高知、沖縄両県とも20%を越えている。むしろ、リストラにも目立った抵抗もしない中高年の「大人ぶり」の方が情けないぐらいだ。
「政府が人民の諸権利を侵害するとき、蜂起は人民にとって最も神聖な権利であり、最も不可欠な義務である」(「フランス人権宣言」)。世界の憲兵と化しているあのアメリカの「独立宣言」にも幸福追求権とそれを侵す政府への革命権が明記されている。日本国憲法には革命権、抵抗権が明記されていないと指摘されるが、国民が幸福を追求する限り、「新たな政府」の樹立(選択)は当然の帰結である。
 高知の民権思想家、植木枝盛は「この世によい政府というものはない。人民がよい政府にできるだけだ」という趣旨を述べている。今年は、「出て行け」と自民・公明党政権を一喝する年である。

(「医療労働者」脈路に寄稿 2003.1.27)