労働組合ってどんなもの?


 労働組合は、経営者や政府の弾圧との闘いの中で生まれてきました。その労働組合という組織の基本的性格はどういうものでしょうか。

2つの基本的性格


1.労働組合は労働者の要求を実現するための組織です


 一人一人では弱い立場の労働者が、共通の利益を守るために団結して組織するのが労働組合です。
 従って、思想や信条、身分、性別、年齢、宗教、支持政党等の違いを問わず、労働者ならだれでも入れる組織であり、そういう点では極めて「大衆的な性格」持っています。
 労働者の力は、「数の多さ」とその「団結する強さ」にあります。それを保障するのが、この大衆的性格です。
労働組合の団結の基は、共通する要求にあります


2.労働組合は経営者の搾取や攻撃から労働者を守り、要求を実現するために闘う組織で


 労働組合はだれでも入れるとは言っても、映画や演劇、スポーツのサークルとは違います。
 労働組合の歴史からも分かる通り、経営者に搾取されている労働者が自らの生活と生きる権利を守るために闘い取ってきたのが労働組合です。
 そういう点で、労働組合は資本家と闘うという「階級的性格」を同時に持っています。

 


運営上の3つの原則

 労働組合の二つの基本性格を守り抜くために必要な運営上の三つの原則があります。それは「自主性・民主性」「資本(経営者)からの独立」「政党からの独立」です。

 

1.みんなの組織、みんなが参加ー団結のカナメは組合民主主義

 

 労働組合は組合員一人一人が自分たちの要求を実現するために、自主的に参加している組織です。組合運営にはすぐれた指導者も必要ですが、「組合員一人一人が主人公」でありみんなが組合運営に参加し、そして組合員の様々な意見が大切にされ民主的に運営されることが大切です。

団結とは=自分だけ良い子になろうとして、一人一人が競争しないこと。
団結とは=苦しい時にはみんなで助け合い、互いに仲間を裏切らないこと。
団結とは=これらのことを毎日毎日みんなで確かめあうこと。
(新潟大学病院の「夜勤制限闘争」の中から生み出されたことば)


2.「資本(経営者)からの独立」−経営者の言いなりでは、労働者の利益は守れ ない


 戦前のように経営者やその利益を代表する政府から、暴力を含む弾圧を受けたりすることは基本的になくなりました。
 労働者は憲法や労組法で守られており、経営者もそれをあからさまに無視は出来なくなりました。しかし、経営者を敵だと憎む必要はありませんが、賃上げでも増員、労働時間の短縮でも労働者と使用者の立場が基本的に異なっていることに変わりはありません。
 「連合」の一部組合のように経営者から物心にわたる“援助”をもらったり、組合の一部の幹部が昇進に手心を加えてもらったりでは、労働者の要求実現のために闘うことは出来ません。
 経営者から独立して組合を運営し、経営者とは一線を画するという「資本からの独立」は、労働組合にとって絶対に必要なことです。

 

3.「政党からの独立」−一致する要求での共同行動こそ大切


 「連合」傘下の組合は「うちの組合は○○党支持だから○○さんを支持しなさい」と、特定政党やその候補者への投票やカンパを強制しています。 しかし、これは先に見た労働組合の第1の基本的性格に反します。
労働組合には様々な政党を支持する労働者が、要求に基づき自主的に団結しています。だからこそ大きな力を発揮できます。
 それを特定の政党を押し付けるようなことをすれば、政党支持の違いに応じて組合を作らなければならないことになってしまい、労働者、労働組合の団結が崩れることは明らかです。 労働組合の団結を守り、要求を前進させるためには、「政党支持の自由」を尊重することが重要です。
しかし、このことは労働組合が政治に無関心であってよいと言うこととは、まったく違います。 むしろ要求や政策で一致できる諸政党、諸団体と協力、共同し、政治のあり方を変えるように主体的に取組むことこそが大切です。 その中で、組合員一人一人が自分たちの要求を実現してくれる政党はどこかを見極め、「良心の声」に従い投票する政党を決めるべきです。
 また、政治を良くしようという一致する要求に基づく「統一戦線」が結成された場合には、組織内の充分な論議を経て、その一員として組織を挙げて選挙戦に取組む場合も出てきます