県医労連速報 地域包括医療調査を実施
              
2003.10.11号
●ウルトラマン型医療=赤ひげ型医療。医師中心の医療。
 敵が次々と現れ、ウルトラマンは燃え尽き、疲れ果て、M78星雲という『医局』へ任期1年で帰っていく。


●アンパンマン型医療=チーム医療。
 <アンパンマン>は
 等身大
 すごく、おせっかい
 自身の一部を与え人を救う
 強力なバックアップ(ジャムおじさん)
 強力なスタッフ(食パンマン、カレーパンマン等)

 敵はバイキン・マン。見方は次々に登場。疲れ果てボロボロになっても、ジャムおじさんが、“頭”を焼いてくれてリフレッシュ。

自治体病院の発展方向-地域医療のあり方を探る

 県社保協は10月2日から10日の間、地域包括医療の実態調査を行いました。
 初日の2日には、西土佐村を訪れ、西土佐村中央診療所、西土佐福祉会、村健康福祉課、村職労から聞き取りを行いました。
 4億円をかけ山を削り造成したという広大な敷地からは雄大な四万十川が一望でき、診療所、保健福祉課、福祉関連施設、宿泊施設、小中学校などの施設が集合しています。
 診療所の玄関には診療を終え、巡回バスを待つお年寄りがゆったりと時間を過ごしています。
 物理的な距離の近さが、効率化だけではなく関係者の心の距離をちじめ、保健・医療・福祉の一体的展開を支えてきたのだと実感しました。
 中央診療所を拠点に保健活動を徹底させ、住民参加で健康を守ってきた地域の歴史が浮き彫りになりました。
 介護入保健の実施後は、包括医療の中心が中央診療所から保健福祉課に移っていっているような印象を受けました。


3本柱で地域を振興-檮原町

 翌3日には檮原町に入り、保健福祉センターを拠点に聞取り調査をしました。
 保健福祉センターと病院が廊下続きになっており、ここでも物理的な一体感の大きさを実感しました。玄関が両施設の真中の廊下部分にあり、そこのソファーに座ると左右に保健福祉課と病院受付とが見渡せます。患者も職員も行き来自由。
 檮原町は@保健福祉、A教育、B環境を3本柱に町の振興を図っています。町行政の明確な理念の中に病院が確固として位置付けられています。
 保健・医療・福祉・介護の中心は、病院長であり、ゼネラル・マネジャーとしての位置付けであると聞き、一同感心。
 医療はウルトラマン型ではなく、アンパンマン型でなければならないと熱く語る阿波谷院長。
 カルストの丘陵には2機の風力発電施設が、高原の風を受け悠然と回っています。それだけで観光資源になり得るのに、年間売電益は4千万円を超えるということです。ユニークなのはその財源を森林間伐などの環境保全に当てていることです。
 S52年から養成を始めた健康推進委員は、現在14期目(3年間で養成)で合計で千名を超えるとのこと。1年目は養成講座の受講となっています。年5日で10講座を受けるそうです。2年目、3年目は研修とともに実践を行います。地域学習の企画・準備や健診活動のお手伝いです。健診のための問診表等1戸1戸に説明して回ったりします。高い健診率の理由はここにあります。
 医療費は、西土佐、梼原ともに全国平均と比べて格段に低くなっています。

 現在、報告書の作成中です。自治体病院の役割をそれ自体で評価するのではなく、地域との関連で面としてとらえる視点をはじめて実感しました。
 新しい地平が開けたような有意義な調査でした。