パートタイム労働者


 パートタイム労働者の権利については、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(略称:パート労働法。1993年12月施行)に規定されています。 パート労働法 → ココ
 また、パートタイム労働指針(事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針)が2003年8月25日に改正され、同年10月1日に適用されました。 指針 → ココ
 以下、概略を説明します。

 


 後でここも覗いてみてください。


1、この法律の対象者

短時間労働者(=パートタイマー)とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べ短い労働者のことと定義されています。
したがって、アルバイト、嘱託、準社員、契約職員等の名称のいかんを問いません。



2、労働者保護法令の遵守


労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労災保険法、雇用保険法等は原則としてパートタイマーにも適用されますから、使用者(=経営者)はこれらの法律を守らなければなりません。

また、労働条件は、就業の実態、通常の労働者との均衡を考慮して定める必要があります。

注意点
 通常の労働者と労働時間および就業の実態がほぼ同一のパートタイマーには、通常の労働者と同様の処遇をしなけ ればなりません。名前がパートというだけで差別的な取り扱いをすることは許されません。
 「通常の労働者との均衡」を考慮(法第3条)
 ヨーロッパでは均等待遇は常識。ILO「パートタイム労働に関する条約」ココ
パートタイム労働に係る雇用管理研究会報告(2000年4月) → ココ



3、パートタイマーの適正な労働条件の確保


雇入通知書の交付 パートタイマーを雇い入れたときは、労働契約を書面で行う場合などを除き、速やかに賃金・労働時間などの労働条件を明示した文書(雇入通知書)を交付しなければなりません(口約束だけによるトラブルを避けるための措置です)。

就業規則の整備 パートタイマーを含め常時10人以上の労働者を使用する場合は、パートタイマーにも適用される就業規則の作成が必要です。 注) 就業規則例 → ココ

労働時間・労働日 労働時間および労働日を定めるにあたっては、短時間労働者の事情を十分考慮し、所定労働時間を超えたり、所定労働日以外の日に労働させたりしないようにできるかぎり努めなければなりません。

年次有給休暇 パートタイマーにも労働基準法の定めるところにより、所定の日数の年次有給休暇を与えることが必要です。


注) 
@パートタイム労働者の就業規則を作成する場合、一般的には一つの就業規則の中でパートタイム労働者に関する特則を設けたり、別途パートタイム労働者用に就業規則を定めたりしています。ちなみに、形式的に就業規則を分けたとしても法律上はそれらをまとめて一つの就業規則として扱います。

A就業規則を作成又は変更するときには、使用者は、事業所の労働者の過半数で組織する労働組合(労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)の意見を聴き、その意見書を添えて労働基準監督署に届け出る必要があります。(労働基準法第90条) その際、パートタイム労働者の意見も反映されることが望ましいといえます。
 パートタイム労働法では、事業主は、パートタイム労働者に係る事項について就業規則を作成又は変更するときは、事業所のパートタイム労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことを求めており、過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な扱いをしないようにするものとしています。


●パート労働者の年休

短時間労働者の週所定労働時間   雇入れの日から起算した継続勤務期間の区分に応ずる年次有給休暇の日数
短時間労働者の週所定労働日数 短時間労働者の1年間の所定労働日数(週以外の期間によって労働日数が定められている場合)
6箇月
1年
6箇月
2年
6箇月
3年
6箇月
4年
6箇月
5年
6箇月
6年
6箇月
以上
30時間以上 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日
30時間未満 5日以上 217日以上
4日 169日から216日まで 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日から168日まで 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日から120日まで 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日から 72日まで 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日
備考  上に掲げるもののほか、所要の経過措置が労働基準法施行規則の一部を改正する省令(平成12年労働省令第49号)において定められている。


●短時間雇用管理者の選任

事業主は、常時10人以上のパートタイム労働者を雇用する事業所ごとに、指針に定める事項その他のパートタイム労働者の雇用管理の改善等に関する事項を管理させるため、短時間雇用管理者を選任するように努めなければなりません。 → ココ




4、労働保険、社会保険への加入条件



@労災保険 :パート労働者にも適用。

A雇用保険

加入要件 @ 1週間の所定労働時間が20時間以上
A 1年以上の継続雇用が見込まれる


加入区分 週所定 65才未満 65才以上
30時間以上 一般被保険者 高齢者継続被保険者
30時間未満 短時間労働被保険者 短時間労働被保険者である高齢者継続被保険者


失業給付を受けるための条件

@一般被保険者、高齢者継続被保険者・・・・・・・離職の日以前1年間に賃金支払基礎日数14日以上の月が6ヵ月以上あること。

A短時間被保険者、高年齢短時間被保険者・・・離職の日以前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12ヵ月以上あること。
*賃金支払基礎日数:月給者は、歴日数。日給者、時給者は、出勤日数。


給付日数 → ココ



B社会保険(健保、年金)

要件 所定労働時間
年収
所定労働時間が通常の
労働者の4分の3以上
所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満
年収130万円未満
*60才以上 180万円未満
年収130万円以上
*60才以上 180万円以上
適用 医療保険 健康保健等被用者保険
の被保険者
健康保健等被用者保険
の被扶養者
国民健康保険の被保険
年 金 厚生年金等被用者年金
の被保険者(国民年金2
号被保険者)
厚生年金等被用者年金
の被扶養配偶者(国民
年金3号被保険者)
厚生年金等被用者年金
の被保険者及び被扶養
配偶者でない者(国民年
金1号被保険者)



5、「同一職務」2割以上の賃金格差は違法(判例)・丸子警報機事件


 判例要旨







2005.4.30 rewrite