就業規則について


労働契約が不明確なことが、職場におけるトラブル発生の原因の一つになっています。その労働契約の要となるのが就業規則です。ここでは、就業規則について概略見てみましょう。


 後でここも覗いてみてください

1、自分が働くときの条件、いわゆる労働条件をご存じですか?



○自分の毎月の賃金額を聞かれて即座に答えることが出来る人は少ないのではないでしょうか。基本給がいくら、手当がいくつあってそれぞれいくら、こから税金、社会保険料はいくら引かれているか、もう一度給与明細を見直してみてください。そして、自分の働いている条件を。

○働く時間は何時から何時まで・休憩時間や休日はどうなっているか・給料はいくらで残業代の計算の仕方はどうなのか・退職金規程はあるのかなどもう一度、就業規則を見返し、点検してみましょう。



2、あなたは就業規則を見たことがありますか?



○就業規則は、経営者が職場における労働者の労働条件や規律などを定めた規則です。

○労働基準法は常時10人以上の労働者を使用する使用者にその作成および届け出を義務づけています(労基法第89条)。

○就業規則はつくるだけではいけません。労働者が見たいときにすぐに気軽に見ることができる場所に掲示しておかなければなりません。例えば、最低看護詰め所には、掲示しなければなりません。経営者が各自にくれない場合には、コピーを取っておきましょう。(労働基準法第106条→6、法令等の周知義務の項参照)



3、就業規則に定めるべき事項


 労基法第89条では、就業規則に定めるべき事項を規定しています。

必ず記載しなければならない事項
@始業・終業期間、休憩時間、休日、休暇等

A賃金の決定、計算及び支払方法、賃金の締切り日、支払日、昇給に関する事項

B退職に関する事項(解雇の自由含む)。


定めをする場合には記載しなければならない事項

@退職手当の定めをする場合は、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算、支払方法、支払時期に関する事項。

A臨時の賃金(退職手当除く)

B労働者に食費等の負担をさせる場合には、それに関する事項。

C安全、衛生に関する定めをする場合には、それに関する事項。

D職業訓練に関する定めをする場合には、それに関する事項。

E労災保障等に関する定めをする場合には、それに関する事項。

F表彰及び制裁に関する定めをする場合には、それに関する事項。

G前項のほか、全労働者に適用する定めをする場合には、それに関する事項。


*これまで、就業規則については、賃金、退職手当、安全及び衛生または災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項に限り、別規則にすることができるとされていましたが(旧法第89条第2項)、労働関係の多様化に伴い就業規則において規律する内容も複雑化していることから、1999年4月1日から、制限を廃止することとなりました。

 

4、就業規則は、勝手に変更は出来ない



○就業規則の作成と変更については、労働者の過半数が加入している労働組合があればその労働組合、労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。

○そして、その意見を文書で労働基準監督署に届け出なければならないのです(労働基準法第90条)。

○特に、退職金規定などを勝手に引き下げる事例なども有りますから注意しましょう。



5、就業規則の内容には制約がある



 就業規則は、労働基準法などの法律または労働協約に反してはなりません。労基法の規定を下回っている場合には、労基法の規定通りとなります。
 *労働協約とは賃金や労働条件・その他に関する労働組合と会社との間で結ばれている文書による協定のことをいいます。
(労働基準法第92条) →「権利」労基法の項参照



6、法令等の周知義務(労基法第106条)


法令の要旨、就業規則、各種労使協.定等を掲示、備え付け、書面の交付等によって周知しなければなりません(労基法第106条)。

 

周知すべき事項
(1)労働墓準法及び同法による命令等の要旨
(2)就業規則
(3)労使協定
  @貯蓄金管理に関する協定(第18条)
  A購買代金などの賃金控除に関する協定(第24条)
  B1ヵ月単位の変形労働時間制に関する協定(第32条の2)
  Cフレックスタイム制に関する協定(第32条の3)
  D1年単位の変形労働時間制に関する協定(第32条の4)
  E1週間単位の非定型的変形労働時問制に関する協定(第32条の5)
  F一斉休憩の適用除外に関する協定(第34条)
  G時間外労働・休日労働に関する協定(第36条)
  H事業場外労働に関する協定(第38条の2)
  I裁量労働に関する協定(第38条の3)
  J年次有給休暇の計画的付与に関する協定(第39条)
  K年次有給休暇取得日の賃金を健康保険の標準報酬日額で支払う制度に関する協定(第39条)
(4)新裁量労働制にかかる労使委員会の決議内容(第38条の4)
 *(3)、(4)は、1998年改定で追加された。


周知方法
@常時各作業場の見やすし、場所に掲示・備え付ける
A書面で交付する
B磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する
 *A、Bは、1998年改定で追加された。






2005.5.27 rewrite